2012年6月6日水曜日


数年前の夏に端を発する神経性の腹痛も、これだけ続けば立派な持病だ。
これにかかるととにかく痛い。寝込みはしないまでも腹に力が入らず、
ものを考える気力も失せてしまうのだった。

病気と付き合うというが、この頃は痛みと同時に愛着が湧くようになっていた。
やあ、また来やがったね。今度のは前のよりやさしいね。
去年のは格別痛かったけどあれは何だったのかね、などと腹で相談している。
この痛みには数年分の、苦い苦い思い出が詰まっているし、苦楽を共にした大切な存在なのである。
そんなことを悠長に思っていたのが3日前、異変が起きたのはその晩だった。
僕のちんちんが取れた。

取れたのだ。鼻くそでも取るぐらいにホロッと取れた。
僕は驚かなかったよ。心のどこかでもう理解していたから。そうなのだ。
どうりで痛いわけだよ。メスになったのさ。
腹は今も痛い。
でも心は9月の空のように穏やかで、
タッパーに透けるちんちんを眺めながら、僕は夜明けを待っている。

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