デザインと速度の関係について考えます。 それはデザイン制作のスピードであり、 造形の醸すスピード感であり、 デザインの流行り廃りでもあります。 きょうはクリエイターの思考や手の速度がデザインにどのような影響 を与えるかを言葉化します。
ものをつくると必ず時間がかかります。 時間をかければ良いものができると言われますが、反対に、短時間で制作されたものにも、魅力的なものはたくさんあります。 漫画のキャラクターが良い例です。 漫画のキャラクターは大量に描かれ、 複製される前提でデザインされています。つまり、 短時間で描ける、粗い印刷や拡大縮小にも耐えられる、 白黒でも十分意味が伝わるように、デフォルメ(記号化)= デザインされています。3枚のキスの絵と彫刻は、それぞれ表現手法もメッセージも異なりますが、それぞれに強さがあります。
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1、制作の速度
重要なのは線の太さです。
四角い画面における黒の分量が、寂しくもなく、煩くもない、 丁度良い量であること、これはコマを一枚の絵として見た時、 一筆一筆が効果的に作用していることを意味します。
[ 絵の印象 = 線の太さ : 手数 = 画面の大きさ : 時間 ] です。
西島大介=線の太さ(5):手数(2)= 画面の大きさ(10):時間(4)
大友克洋=線の太さ(1):手数(10)= 画面の大きさ(10):時間(100)
比較になってませんかね。
これもどちらも凄いんです。配分が違うと言いたいだけで。
これもどちらも凄いんです。配分が違うと言いたいだけで。
ここんとこ重要です。
次に線の抑揚です。
スヌーピーの頭部の線は、 ゆるやかに太くなったり細くなったりしています。キッスされたパティくんの前髪はふわりと跳ねたような軽快さがあ ります。これが僕の言う造形のスピード感です。 これは絵がシンプルになればなるほど効果的に見えます。 逆にここをうまくできないと絵になりません。
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3、浸透の速度
もうひとつは漫画・キャラクターを鑑賞者が知っていることです。 漫画の絵は速いと言いましたが、 マクロな視点から見ればスヌーピーは何十年もかけて制作され続け た巨大な作品とも言えます。 子供の頃から意識の中にスヌーピーはいました。 鑑賞者は絵のなかのスヌーピーを、 意識の中のスヌーピーで補完し、 相乗的に価値を高めているわけです。
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この3つをコントロールする技術が構成力だと思います。 構成力を鍛えるには、 作品を完成させる作業を日常的に繰り返すことに尽きると思いま す。
ピカソは構成が死ぬほど上手かったそうです。 わたしも作品14万点制作すれば上手くなるでしょうか。 絵だけ置いておきます。
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さて
漫画における 「1、制作の速度、2、線の速度、3、浸透の速度」 を私なりにプロダクトデザイン語に変換したものが、 冒頭に述べた「1、デザイン制作のスピード、2、 造形の醸すスピード感、3、デザインの流行り廃り」です。
製品デザインのサイクルにおいて、 デザイナーは製品の性格を見極め、 造形のスピード感を調整する必要があります。 造形のスピード感とは制作にかける時間であり、 その時間に見合った素材であり、 その素材を加工することで生まれる表情です。
限られた時間、素材を効果的に配分できたとき、 デザインは必然的に豊かになるはずです。
デザインの流行り廃り、つまりデザインのスタイル、 これはもちろんデザイナーが作り出すものですが、 いまの世の競争デザインはここに注力し過ぎている感じがします。 かつデザイン以外の人からするとデザインとはそこの部分だけであ るという偏見が強い。
スタイルは、 上段でいうところの製品の性格の部分だと僕は思います。 スヌーピーでいうところの、スヌーピーのやさしさの部分とかそういう要素です。
現状を打破するには、これはあくまで自己完結する話ですが、 実際に作ることです。学校でやったみたいに。 キャスト流したりして。 先輩たちは皆若い頃手描きのレンダリングとクレイのモックアップ をやってきたからデザインできるんです。 ディスプレイ上だけで造形できるほど力ないんです僕は。
[ 続く ]
西島大介先生のディエンビエンフーは下記 IKKI COMICS 公式サイトでためし読みできるよ(゚∀゚)ラヴィ!!
http://www.ikki-para.com/tameshi/dien/index.html
スタイル偏重主義にとらわれないデザインのあり方が、「造形のスピード感」を調整することで達成される「豊かさ」であるとすれば、それは例えばどのようなデザインなのでしょうか。製品の性格=スヌーピーのやさしさの部分、という喩えはとてもおもしろいなと思います。byまつもと
返信削除わー初コメントです!ありがとうゴッドさん。
返信削除この投稿の核心をとらえた鋭い質問ですね。
次回のポストで探って行こうと思っていた話題でもあります。
先取りして回答すると、漫画みたいなデザイン、です。
戦後日本の漫画が劣悪な印刷環境にあったからこそ
強い線のキャラクターが多く誕生したように、
うちの会社のデザインはもっと現場に寄り添うべきだと思うんです。
スタイル偏重主義の一因に、3Dモデリングの普及があると思うんです。現代のプラスチック成型は「どんな形でも作れる」と、上司に教わったんです。でも実際は成型条件に合わせてどんどん形がおかしくなっていくんです。自社製品も含め、家電量販店で見かけるへんなかたちのものは、そうやって生まれてくるんじゃないかと思うんです。
そうではなく、プラスチックの性質や、工場の設備のレベルをよく理解して、それにデザイナーが寄り添っていくべきだと思うんです。
こんな当たり前のことが今の環境ではできていません。あくまで今の自分の環境での話です。
また、スタイル偏重主義からの脱却はデザイン以外の部署の人々の理解も
必要不可欠だと思います。うちのような小さい会社にとって、
市場でいかに目立つかが死活問題なんです。
でもみんながバラバラに目立つことばかり考えていては
ただやかましいだけ。
そういう現状をふまえて今の自分にできることを
次の投稿にまとめたいと思います。
回答になっていますでしょうか。。。
コメントありがとうございました^^
また飲もうぜ!
結局「どのようなデザインか」の返答になっていませんね!正直わかりません!でもなんとなく、やり方はわかってる感じがするんです。つくって考えます。
返信削除目指すのは素朴さです。
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